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映画評:ミュンヘン
1972年9月5日未明。
ミュンヘン・オリンピック競技場内の選手村に、“黒い九月”と呼ばれるテロリスト集団が侵入した。
“黒い九月”はAK-47ライフルで武装し、イスラエル人選手が宿泊する部屋に乱入。
ほぼ二日間、イスラエル人選手を監禁し、イスラエルに収監されるパレスチナ人234名の開放を要求した。
その後、“黒い九月”はイスラエル人選手を人質に、空港へ移動。脱出用の飛行機を要求した。
だが空軍基地に到着したところで、ドイツの狙撃手と“黒い九月”による銃撃戦が勃発。
イスラエル人選手全員死亡という惨事を引き起こした。

難解な作品ではないが、予備知識がないと、ちょっとつらい作品だ。鑑賞の前に、少し学習しておいたほうがいい。これまでのスピルバーグ映画と思って観ると、どこかで置いてけぼりにされるかもしれない。
このミュンヘン・オリンピック事件を受けて、イスラエルのゴルダ・メイア首相はただちに報復を決行。
パレスチナ・ゲリラの基地を空爆し、数百人のパレスチナ人を殺害した。
だがパレスチナ・ゲリラ基地の空爆は、誰も注目しなった。
もっと世界中が注目するようなセンセーショナルな事件が必要だ。
そう判断したゴルダ・メイア首相は、ミュンヘン・オリンピック事件に関与した11人のリストを作成し、暗殺計画を提案した。
いわゆる《神の怒り作戦》と呼ばれる暗殺計画だ。

「暗殺はできれば爆弾で」というのが条件。ただ殺すのではなく、センセーショナルが目的。ただし、一般人への殺人は認められない、という条件も。殺人は罪だが、使命のための殺人は許容される。
映画『ミュンヘン』は、ミュンヘン・オリンピック事件と、その後の暗殺事件の両方を描いた、長大でしかも複雑な映画だ。
主人公のアヴナーは、祖国と名誉のために暗殺計画を引き受けるが、やがて狙われる側になり、心理的に追い詰められていく。
全てが事実に基づいて描かれた作品ではないが、当事者の心理を詳らかに、生々しく描き重ねていく。

映画『ミュンヘン』は事実に基づくが、暗殺の実行犯は創作だ。暗殺計画と殺された人は事実で、その周辺のやりとりはフィクション、と見ればいいだろう。
“平和の祭典”のはずであるオリンピックで起きた悲劇。
だが国家がぶつかり合い、宗教がぶつかり合うと、どこかに政治性が絡んでくる。
オリンピックの表面的な理想は、むしろ民族と政治性を際立たせる結果に終わった。
一つのルールを守り、共に走ろうという意思は、銃声と爆撃によって裏切られた。
戦争は終わらない。
戦争の残滓はあちこちに火種を残し、再び燃え盛るのを待っている。その火種を持っているのは、他でもなく、我々の深層の国家への帰属意識の中に眠っている。
映画『ミュンヘン』での背景は、どれも平和な風景に見える。
暗殺の当事者は、どれも平凡な生活を営んでいるように見える。
だが平和という状況が、ただちに戦争ではない、という意味にはならない。
戦争は、いつも平和の仮面のうちに眠り続けているのだ。

『無知』『無関心』こそが最大の罪だ、と映画は語る。実際に、イスラエル人もパレスチナ人も、自分達の存在を知らしめるために犯行を重ねていく。「知らなければ平和」という理屈は、世界では通用しない。
映画『ミュンヘン』はエンターティメントの巨匠による、重さのあるドラマだ。
映画の内部には多くのものが描かれ、語られるが、もっとも強く描かれているのは“民族の悲劇”だ。
それから、あらゆる世界の悲劇に対する、我々の側による無関心だ。
ミュンヘン事件の決行者は、自分達の計画の正しさを信じている。多くの人が、“黒い九月”の存在を知ってくれたからだ。
《神の怒り作戦》の大きな本質は、暗殺にセンセーショナルな衝撃を与えることだった。
遠くの世界で、数百人爆撃しようとも、誰も気付きもしないし、関心を抱こうともしない。
だから、最も我々の身近に思える場所で、戦争の状況を出現させようとしたのだ。
だが、最終的にミュンヘン事件を世界に知らしめ、記憶に残したのは、スピルバークの映画であっただろう。
作品データ
監督:スティーヴン・スピルバーグ 原作:ジョージ・ジョナス
音楽:ジョン・ウィリアムズ 脚本:トニー・クシュナー エリック・ロス
出演:エリック・バナ ダニエル・クレイグ
キアラン・ハインズ マチュー・カソヴィッツ
ハンス・ジシュラー ジェフリー・ラッシュ
アイェレット・ゾラー マチュー・アマルリック
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ミュンヘン・オリンピック競技場内の選手村に、“黒い九月”と呼ばれるテロリスト集団が侵入した。
“黒い九月”はAK-47ライフルで武装し、イスラエル人選手が宿泊する部屋に乱入。
ほぼ二日間、イスラエル人選手を監禁し、イスラエルに収監されるパレスチナ人234名の開放を要求した。
その後、“黒い九月”はイスラエル人選手を人質に、空港へ移動。脱出用の飛行機を要求した。
だが空軍基地に到着したところで、ドイツの狙撃手と“黒い九月”による銃撃戦が勃発。
イスラエル人選手全員死亡という惨事を引き起こした。
このミュンヘン・オリンピック事件を受けて、イスラエルのゴルダ・メイア首相はただちに報復を決行。
パレスチナ・ゲリラの基地を空爆し、数百人のパレスチナ人を殺害した。
だがパレスチナ・ゲリラ基地の空爆は、誰も注目しなった。
もっと世界中が注目するようなセンセーショナルな事件が必要だ。
そう判断したゴルダ・メイア首相は、ミュンヘン・オリンピック事件に関与した11人のリストを作成し、暗殺計画を提案した。
いわゆる《神の怒り作戦》と呼ばれる暗殺計画だ。
映画『ミュンヘン』は、ミュンヘン・オリンピック事件と、その後の暗殺事件の両方を描いた、長大でしかも複雑な映画だ。
主人公のアヴナーは、祖国と名誉のために暗殺計画を引き受けるが、やがて狙われる側になり、心理的に追い詰められていく。
全てが事実に基づいて描かれた作品ではないが、当事者の心理を詳らかに、生々しく描き重ねていく。
“平和の祭典”のはずであるオリンピックで起きた悲劇。
だが国家がぶつかり合い、宗教がぶつかり合うと、どこかに政治性が絡んでくる。
オリンピックの表面的な理想は、むしろ民族と政治性を際立たせる結果に終わった。
一つのルールを守り、共に走ろうという意思は、銃声と爆撃によって裏切られた。
戦争は終わらない。
戦争の残滓はあちこちに火種を残し、再び燃え盛るのを待っている。その火種を持っているのは、他でもなく、我々の深層の国家への帰属意識の中に眠っている。
映画『ミュンヘン』での背景は、どれも平和な風景に見える。
暗殺の当事者は、どれも平凡な生活を営んでいるように見える。
だが平和という状況が、ただちに戦争ではない、という意味にはならない。
戦争は、いつも平和の仮面のうちに眠り続けているのだ。
映画『ミュンヘン』はエンターティメントの巨匠による、重さのあるドラマだ。
映画の内部には多くのものが描かれ、語られるが、もっとも強く描かれているのは“民族の悲劇”だ。
それから、あらゆる世界の悲劇に対する、我々の側による無関心だ。
ミュンヘン事件の決行者は、自分達の計画の正しさを信じている。多くの人が、“黒い九月”の存在を知ってくれたからだ。
《神の怒り作戦》の大きな本質は、暗殺にセンセーショナルな衝撃を与えることだった。
遠くの世界で、数百人爆撃しようとも、誰も気付きもしないし、関心を抱こうともしない。
だから、最も我々の身近に思える場所で、戦争の状況を出現させようとしたのだ。
だが、最終的にミュンヘン事件を世界に知らしめ、記憶に残したのは、スピルバークの映画であっただろう。
作品データ
監督:スティーヴン・スピルバーグ 原作:ジョージ・ジョナス
音楽:ジョン・ウィリアムズ 脚本:トニー・クシュナー エリック・ロス
出演:エリック・バナ ダニエル・クレイグ
キアラン・ハインズ マチュー・カソヴィッツ
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劇場鑑賞「ミュンヘン」
「ミュンヘン」を鑑賞してきました。スティーヴン・スピルバーグ監督最新作。「ハルク」「トロイ」のエリック・バナ主演。今作は、1972年のミュンヘンオリンピック開催中に、パレスチナゲリラ”ブラック・セプテンバー”による、イスラエル選手団殺害事件を描き、それ...
ミュンヘン/ エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、ジェフリー・ラッシュ
とりあえず・・・長ッ!(笑) 2時間44分の社会派ヒューマンドラマにはスティーブン・スピルバーグ監督の並々ならぬ思い入れを感じます。長いんですけど、絶えず緊張感を漂わせ中だるみもほとんど感じられないのは流石といったところでしょうか。
+++ちょいあらすじ
ミュンヘン
“家はとても高くつく。しかし、いつかはこういう家が持てる。”(フランスの情報屋の言葉)
“俺たちを野蛮人にしたのは彼らだ。”(同宿したアラブ人青年の言葉)
スティーブン・スピルバーグ監督、エリック・バナ主演の“ミュンヘン”を観ました。
1972年9月、パレスチナ建国を目指す“黒い九月(ブラック・セフテンバー)”は、ミュンヘンオリンピックの選手村に潜入。イスラエル選手団を人質に取り、イスラエルに収監されているパレスチナ人234名の解放を要求。逃走中に銃撃戦となり、人質となった選手11名は全員...
ミュンヘン
1972年、オリンピックを舞台に起きてしまった惨劇、「ミュンヘン事件」とその後の知られざる裏の世界があらわされた。
メキシコオリンピックは、わずかしか記憶にないが、ミュンヘンオリンピックの衝撃はしっかりと覚えている。アメリカ代表の水泳のスペシャリスト・スピッツ。名前も独特だったが、泳ぎも凄かった。金メダルを何個とっただろうか。とにかく、連日「スピッツ、スピッツ」と、犬かいな!みたいに報道されていた。そして、イスラエル選手の拉致、惨劇。小学校5年(たぶん)の自分にとって、衝撃の事件だった。そして、この事件...
「ミュンヘン」
バラエティに飛んだ作品を送り出し続けるスティーヴン・スピルバーグの懐の深さを感じました。それでも、子供は殺さないことや、家族の物語であることを考えればテーマは違っても監督の映画に対する姿勢が変わらないことがわかりますね。
ユダヤ人監督によるイスラエル側からの描写なのでもっと冷徹で感情のない暗殺集団かと思っていたのですが、これならイスラエルからも批判が起こるのは理解できる。それだけ偏りのない作品と言えるんじゃないでしょうか。アブナー(エリック・バナ)の家族への思いと暗殺者としての苦悩はグッと物語の深み...
「ミュンヘン」
「ミュンヘン」一ツ橋ホールで鑑賞
感想を書く事がこんなにも困難極まりないと思わせるスピルバーグ監督作品。「シンドラーのリスト」だってもう少しストーリーが解るのでこの作品よりは書きやすいと思います。とにかくスピルバーグ=誰にでも受け入れやすいエンタメ作品ではありません。1972年のミュンヘンオリンピックでイスラエル選手団11名が虐殺されたと言う大事件すらこの作品のCFを見るまで知りませんでした。華やかなオリンピックの裏側でそんな事があった…、小さすぎて知らなかったのか、興味が無くて気にならなかったのか...
ミュンヘン
2月7日(火)新宿ジョイシネマ2にて1972年のミュンヘン・オリンピック。選手村で、《黒い9月》と名乗るパレスチナ・ゲリラが、イスラエルのコーチや選手11名を殺害しました。本作はその事件をモデルにしています。このとき、平和の祭典オリンピックは、一瞬にし...
★「ミュンヘン」
公開初日のナイト・ショウで観てきました。
スピルバーグ監督の映画という事で、夜中にしてはまずまずの入り。
原題は「MUNICH」。
2005年製作のサスペンス・ドラマ、164分もの。
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